今さらの話題なのだが・・・。
残念ながら、とでも言おうか。去年のM-1は、準決勝のオードリーと決勝の3組しか見られなかった。それだけの評価だから正しいかどうかは分からないが・・・。
決勝だけを見て判断するならば、俺が笑えたと言う観点で判断するならば、オードリー、ナイツ、NON STYLEという順ではないかと思う。ネタで評価すればオードリーは面白かったと思う。今までいくつかのネタを見た中で言えば、ナイツはもっと評価が高くても良いのだが、今回のネタはちょっと弱かったように思う。
と言うおれの評価を覆して、NON STYLEが優勝していた。うーん、俺の感性もそろそろ最近の笑いについていけなくなったか。と思うのも良いがもう少し笑いについて分析してみたい。
(そもそも笑いについて分析することがナンセンスであると言う事を分かった上で、だ。)
評価にあたっては、審査員と私の差を考えてみると分かりやすいと思う。分かりやすい大きな違いは、1) 彼らが準決勝からすべて見ていること、2) 大阪を中心とした笑いを原点にしていること、3) 笑いのプロであること、であろう。
笑いの構成要素は大きく二つあり、緊張と緩和、及び、標準とのギャップである。
緊張と緩和、とは人間の本能に依っており、緊張させたところに急激に緩和させると本能的に笑いが出る、ということらしい。また、息を吸うタイミングと吐くタイミングでは、吐くタイミングの方が笑いが起きやすい、と言う事もある。これらはホモサピエンスの動物としての本能や性質に近い部分に働きかけを起こしている事であり、ネタの内容に関わらず起こりうることである。所謂ノンバーバルな部分だ。
一方、「その個人が持っている標準」と適度なギャップを生じさせることによって笑いが起こる。例えば、ダウンタウンの有名な漫才で「クイズの漫才」がある(タイトルは知らない)。ボケ松本がツッコミ浜田にクイズを出し浜田が答える、と言うシーンで、
「山梨県は、何でしょう?」
「何でしょうって、なんやねん!」
と言うようなモノだ。もちろん文章で書くのはつまらないのを承知の上で書くが、この笑いは次のようなギャップを作り出している。
標準のクイズ:「山梨県の『名産は』何でしょう?」(『』のような表現が通常必ず付く)
今回のギャップ:『』部分をなくすことで、普通とちょっと違う状態にしている
一方、このクイズそのものが例えば日本語ですらない言葉で話したりすると今度は聞き手が何が起こっているかを認識できなくなってしまい、所謂「ヒク」状態になってしまう。
この標準からは外れ、「ヒクゾーン」には入らない程度、つまりいわば「笑いゾーン」に入る程度のギャップが重要なのである。これは基本的にはネタの内容で表現できる部分でかなりバーバルに近い。(近い、と言っているのは動作表現などでも可能だからである。)
さて、笑いについて分析したところで、今回私と審査員で異なる評価をした理由を分析してみよう。まずは、笑いゾーンに関することから。
1) 準決勝から見ていると言う事は、それまでに幾つかのネタ振りがあったはずである。と言うよりも、M-1は比較的、前のネタや他のコンビのネタを利用して次のネタをやることが多いため、その延長で笑いが生まれる事はあるだろう。
2) NON STYLEは私のイメージでは大阪系芸人である。大阪系芸人とは、ネタの作り方が大阪の笑いを中心にしている、例えば探偵ナイトスクープかタモリ倶楽部かと言われたら、探偵ナイトスクープに近いところにある笑いである。それを前提とした笑いゾーンにされると俺としては笑いにくい。
3) 笑いのプロは、そう言った点を分かって面白い、面白くないと言う事を評価する面もあるようだ。つまり、「自分が面白い、面白くない」と言うだけでなく、笑いゾーンが成立するかどうか、一般人の笑いゾーンに刺さるかどうか、を知っている。本人が面白いかどうかにかかわらず、大多数の人が面白いことを知らなければ、プロのお笑いなどできない、と言う事だろう。
一方、緊張と緩和、と言う観点で言うと、「空気」と言うやつがある。この空気、は恐らく、(1) 笑いゾーンの拡張が完了した(ちょっとの事ではひかない、ちょっとでも標準から外れると笑いゾーンに入る)、と言うものと(2) 緩和しやすくなっている、と言うものがあると思う。その後者がまさに緊張と緩和だ。
以上、笑いゾーンに関する理由3つ+緊張と緩和に関する理由1つから、私が面白くないと思ってもNON STYLEが優勝してしまう理由なのである。
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